神奈川県は、地理的に太平洋側に面し、山間部から都市部、河川沿いまで多様な地形が混在しています。そのため、地震・豪雨による土砂災害・洪水・津波など、多岐にわたる災害リスクを抱えています。特に南関東直下地震や大規模な台風の襲来に備えることは、命を守る上で必須です。
本記事では、直近20年の被害事例を振り返りながら、神奈川県で最も注意すべき地域や災害の特性、そして日常的に取り組める備えとおすすめの防災グッズをご紹介します。県の防災ポータルや防災アプリも活用して、安心できる暮らしを築きましょう。
① 過去の災害事例
- 2002年 台風14号(ヒーゴス)上陸による豪雨被害
特に小田原や箱根での土砂災害・土石流が発生し、大きな被害を引き起こしました。河川の氾濫や道路の寸断も報告されています。 - 近年の豪雨による浸水・土砂災害
神奈川県は、過去の台風や集中豪雨によって何度も被災経験があり、山間部では土砂災害、低地都市部では洪水や内水氾濫が多発。これに対応し、県は気候非常事態を宣言し、「水害対策戦略」を推進しています。 - 2021年 熱海土石流は静岡県ですが、神奈川県各地にも土砂災害の警戒が高まりました。
② 災害リスク
- 地震リスク:相模トラフや首都直下の地震の影響があり、耐震・家具固定が重要です。
- 豪雨・土砂災害リスク:山間部では急傾斜地での土砂崩れ、平坦地域では内水氾濫の危険が常にあります。
- 洪水・河川氾濫リスク:相模川・小田原市周辺の酒匂川など、多くの河川に氾濫リスクがあります。
- 津波リスク:沿岸部の三浦半島、横須賀市、横浜の一部などでは高い津波浸水想定が設定されており注意が必要です。
県内で大きな人口を抱える横浜市や川崎市では、都市型水害のリスクが懸念されます。都市型水害では、強い豪雨が下水網の容量を超え、「内水氾濫」が大きな被害原因となります。横浜市では2019年10月、台風19号による豪雨で下水の逆流が発生し、関内駅近くや若葉台エリアなどで浸水が深刻化しました。同年、川崎市では東扇島の排水ポンプが停止した際に、多摩川と川沿いの住宅地に浸水被害が発生し、一部では床上浸水も報告されています。これらは、河川の氾濫よりもむしろ「宅地周辺の排水能力不足」が引き起こす深刻な状況です。
このため、浸水に備えた段差のない玄関への備え(防水シート)や緊急排水用ポンプの設置などが都市部では重要となります。
▶ 神奈川県防災ポータルには緊急情報やハザードマップ、防災ニュース、避難所情報などが豊富に揃っています。
③ 特に災害リスクの高い地域
- 相模川流域(厚木、相模原、海老名など):洪水や氾濫により被害が多発する地域。
- 酒匂川周辺(小田原市など):台風や豪雨時に氾濫危険水位超過の記録あり。
- 山間部(足柄上郡、秦野市など):土砂災害の発生リスクが高く、警戒が常に必要です。
- 津波高リスク地域(横須賀市・逗子市・三浦半島南部・川崎市・横浜市沿岸部など):南関東直下地震や南海トラフ地震で津波浸水が懸念される地域。
- また、以下の地域は、津波災害警戒区域に指定されています
- 藤沢市
全戸配布される津波ハザードマップに、高台避難経路や避難施設が記載されています - 茅ヶ崎市
- 大磯町
- 二宮町
小田原市
神奈川県作成の沿岸別浸水想定図が公開されています。 - 真鶴町
- 湯河原町
- その他(逗子市・鎌倉市など)
- 藤沢市
- また、以下の地域は、津波災害警戒区域に指定されています
④ 日頃の備え
- ハザードマップの確認と避難計画
神奈川県の災害情報ポータルサイトや各市町村の防災マップで浸水区域や土砂災害警戒区域を確認しましょう。 - 防災アプリの活用
川崎市・横浜市ではリアルタイム避難情報や交通・ライフライン状況がわかる防災ポータルがあります。 - 地域防災訓練への参加
自治体が実施する避難訓練への参加も、非常時対応力の向上につながります。 - 避難ルートの確認と集合場所設定
家族内で避難所までの複数ルート、集合場所をあらかじめ話し合って決めておきましょう。
⑤ 神奈川県民におすすめの防災グッズ
- 携帯型非常持ち出しセット(帰宅困難対応):折りたたみ靴・携帯トイレ・飲料水500ml・非常食・ライトなど。
- 家庭備蓄(最低3~7日分):水(1人1日3リットル)、調理不要の食料、電池式ラジオ、モバイルバッテリー、防災用ヘルメット。
- 土砂対策グッズ:防水シート、土嚢袋、携帯用土止め帯などを玄関や車に備えておくと安心です。
- 情報収集ツール:県・市町村の防災アプリ、Yahoo!防災速報、気象情報アプリなどをインストールしておきましょう。
神奈川県特有のリスクに対応したアイテム - 津波・高潮対策
防水バッグ、防水スマホケース、ライフジャケット(沿岸部居住者は特に推奨)。 - 地震による家具転倒対策
笛(救助を呼ぶため)、簡易ヘルメットや防災頭巾。 - 停電・断水の長期化に備えて
ポータブル電源、給水タンク(10L折り畳み式)、簡易浄水器。
まとめ
神奈川県は「地震」「豪雨・土砂災害」「洪水」「津波」すべてのリスクに備える必要があります。特に相模川・酒匂川・湘南沿岸などは想定浸水が高く、土砂災害警戒地域も多く存在します。日頃の備えとして、ハザードマップ確認、避難アプリの活用、避難ルート共有、非常持ち出し品の準備、地域訓練参加を徹底しましょう。日常のアクションこそが、災害時の安心と安全につながります。
FAQ
Q1. 神奈川県のハザードマップはどこで見られますか?
A. 神奈川県災害情報ポータルや各市町村の防災ページから、洪水・土砂・津波ハザードマップを閲覧できます。
Q2. 豪雨時に一番リスクの高い地域はどこですか?
A. 相模川・酒匂川流域、箱根山麓の山間部、市街地では洪水や内水氾濫のリスクが高いです。
Q3. 津波浸水リスクがある地域はどこですか?
A. 横須賀市、逗子市、三浦市、横浜市西部など、太平洋に近い沿岸部では5m級の津波が想定されています。
Q4. 台風被害への備えにおすすめのアプリは?
A. 横浜市・川崎市の防災ポータルや「Yahoo!防災速報」、国の「防災ポータル」も有益です。国土交通省サイト
Q5. 土砂災害警戒区域はどう調べればいいですか?
A. 神奈川県の土砂災害ポータルで区域検索や雨量・警戒情報を確認できます。
Q6. 家族で避難計画を立てるポイントは何ですか?
A. ①浸水や土砂災害の危険区域の把握 → ②避難所・避難ルートの確認 → ③集合場所と連絡手段の共有 が重要です。
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